PEAKFORM代表のブログ

リハビリテーション×○○○を考えながら、新たな価値観を創造していけたら良いいな。雑多な事から理学療法士としての記事まで色々書いていけたらと思います。

発達性協調運動障害とは?

前回の記事では子どもと運動との関係性について書きました。

前記事でも触れていますが、今日は、その中でも発達性協調運動障害についてもう少し詳しく書いていこうと思います。

参考文献

GILLBERG, Christopher, et al. Why bother about clumsiness? The implications of having developmental coordination disorder (DCD). Neural plasticity, 2003, 10.1-2: 59-68.

SUBARA-ZUKIC, Emily, et al. Behavioral and neuroimaging research on developmental coordination disorder (DCD): A combined systematic review and meta-analysis of recent findings. Frontiers in psychology, 2022, 13: 809455.

発達性協調運動障害(以下DCD)は、学齢期の数パーセントの子供が、影響を受けている一般的な運動障害です。これまで、DCDは通常、「不器用な子症候群」または「非脳性麻痺性運動知覚障害」と呼ばれていました。この障害は女児より男児に多くみられ、精神病理学、特に注意欠陥/多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム障害/自閉症型の問題と関連していることが非常に多いとされています。

それではDCDとはどのような要因により引き起こされる状態のことを指すのでしょうか?今日はDCDの運動制御、認知、および神経基盤に関する最近の実験研究の動向を調査したシステマティックレビューからDCDについて詳しく解説したいと思います。少し専門的な内容になってきますが、ご了承ください。

このレビューで得られた結果として、DCDの最も深刻な症状は、運動中の自発的な視線制御で示されたとされています。これがどういう事かと言いますと、例えば、箸でご飯を食べるとき、箸の形状を視覚的に理解し、道具としての意味(物を挟む、つまむ)と合致させる事で、手・手指の操作運動が形作られていきます。この視覚的に箸を分析した情報と箸の道具としての意味を統合させ、箸を操作するという運動プログラムが形成されるわけです。歩くときにも同様に視線の制御により行き先や、道路形状(下り坂や上り坂、不整地など)などの情報を得ます。これにより、「どのように歩くか」という下肢を中心とした運動プログラムが形成されます。こういった視覚の認知運動統合・実践/状況依存の運動学習がDCDでは難しくなっていることが示されています。これにより、内部モデリングの構築が困難となり(内部モデルとは運動の型のようなもの。幾度も繰り返されるトライアンドエラーから、これが脳内に蓄積されることによって、私たちは立ったり、歩いたり、道具を操作したりが、意識せずとも可能となっているわけです。)・より多様な動きの際は運動時の安全性に対して割かなければならない容量が大きくなり、感覚運動領域と前頭前野全体にわたる神経構造と機能が異常(キャパオーバー)となるとされています。DCDに関するこれらの結果は、視覚と運動のマッピングと認知と運動の統合における基本的な欠陥、および運動ネットワークの異常な成熟を示唆しているとしています。

このような認知神経基盤の異常があり、外から見ると「運動の不器用さ」として観察されるわけですね。

 つまり、これらに対応していくためには視覚分析や注意力をうまく絡めた課題を通して、運動学習へと繋げていく戦略が必要となってくるわけです。ただただ運動の量や負荷を増やしても、得られる効果は乏しい可能性が高いです。身体機能を高めるもう1つ前の段階で、そもそも運動がどのように生成されるかという脳内プログラミングの過程に介入していく必要性があります。ここは外からは目に見えない部分です。ここに運動の苦手さや、ネガティブさを感じている子どもたちがいます。

この点に対する関わりは親御さんだけでは難しいのかもしれません。しかし、問いかけを工夫することで、少し手助けをすることができます。普段の生活の中でできる工夫を以下に書いていきます。

  • 子どもの視線に合わせて会話をする(目を合わせるわけではありません。)

この際に何をみているの?という問いかけをしてみましょう。

  • 親が見ている物をこどもは見ている。

スマホは置いて、コミュニケーションを取る時間を作りましょう。

  • お話ができない月齢の子どもに対しては、一緒に体を動かそう。全身を触って動かしてあげましょう。

子供の自発的な運動を親御さんが真似て見せてあげましょう。親御さんがお子様の全身を触る撫でるをしてあげましょう。手足、お顔だけでなく、背中、お腹などもたくさん撫でてあげてください。目を合わせながら、お歌を歌ってあげながらも効果的です。

  • 多くの感覚を入れてあげましょう。

自然に触れる、色々なものを見せてあげる、色々な場所を歩く(土の上、砂の上、水の中)デジタルな入力は体性感覚に乏しいです。自然の中でたくさん遊ばせる事で人間の発達に必要な感覚がたくさん入ってくるはずです。子供は多くのことに興味をもっています。入ってくる感覚すべてが新鮮だからです。親御さんの豊かな言語表現と一緒に感覚をたくさんいれてあげましょう。

 

子どもの運動発達には感覚が重要です。DCDの場合は感覚を組み合わせて運動という型を形成することが苦手な状態です。とはいえ、多くの感覚を入れてあげることは親御さんでもできると思います。楽しみながら多くの感覚を共有してあげてください。

 

我々専門家は苦手なところを克服する視点と得意なところで補う視点両方を組み合わせて対応を行っていきます。お子さんの運動に対するお悩みなどあれば、気軽にご相談ください。

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