PEAKFORM代表のブログ

リハビリテーション×○○○を考えながら、新たな価値観を創造していけたら良いいな。雑多な事から理学療法士としての記事まで色々書いていけたらと思います。

療法士の技術とは?


今まで、リハビリテーションについて色々なところに顔出し、さまざまな勉強をして来たわけですが、療法士の技術とは一体なんでしょうか??患者様の体を触れる・操作する、問診や傾聴などのコミュニケーションスキルなど、その技術体系は色々なスキルが組み合わさり構成されています。私は、「療法士の技術」とは、医学的知識や学術的な知見を自らの身体を介して対象者に正しく伝える方法だと考えています。医学、そして解剖学や生理学、脳科学や運動学など、様々な学問領域の知識からそれをいかに対象者の身体に適応していくかを考えていく上で方法が決まってくるのだと思いますが、これを正しく行えることが療法士の技術です。筋力トレーニングを例にとすると、目的とする筋肉に最大筋力(MVC)の60%以上の抵抗を加え疲労困憊まで運動させることで、最大筋力の向上が図れる。」これが知識と理論です。それではこれを実践しましょうとなると、どうでしょう?まず目的とする筋肉のMVCをどう計測するか?60%MVCの抵抗をどのように達成するか?これが重要となってきますね。ここは最初から決まっている数値のはずです。ここで重要なのが、最大筋力を正しく計測する「技術」となってきますね。さらに、60%の抵抗を何でかけるか、その抵抗が60%MVCを達成する条件を満たしているかということがトレーニングを行なっていく上では重要となります。これはどんな収縮形態を用いるか、どのような姿勢で行うか、どのような運動を選択するか、協同筋をどの程度許容するか、モチベーションや心理状態などをどのように維持するかなど、これらを達成するための「技術」が必要となってきます。このように、単純なレジスタンストレーニングにも多くの技術が盛り込まれてくるわけですね。さらにこれに病態や身体の状態などの個人因子を組み合わせていかなければ、狙っている効果を出していくことは難しくなってきます。となると、療法士の関わりの一挙手一投足すべてに意味が込められてくるはずです。定量定質の面はテクノロジーには敵いませんが、定量定質を達成させるための条件を満たす技術はどこまでいっても療法士に勝るものはないと思います。

 

 

療法士の専門性とは何か?

総合病院に15年間理学療法士として勤めてきた経験をもとに、「療法士の専門性」について書いてみようと思います。

医療リハビリテーションは医学を根拠にした治療なわけですが、これは、客観的な所見に基づいて選択される手段です。あらかじめ決まったテンプレートを使用するのが治療といってもいいかもしれません。薬物療法を例にとって説明すると、鼻水、咳、熱がでて、喉も痛い。こういった症状で受診します。すると医師の問診と診察があり、検査が行われるわけです。血液検査の結果、CRP値と白血球が高い。喉には白い斑点があり、嚥下痛も訴えている。このような所見を見て病原を特定し、薬を処方します。この例の場合はインフルエンザやコロナののようなウィルス性の感染症よりも、細菌性の感染症を疑っているわけです。処方薬には抗菌薬が含まれて来ます。このように、症状から原因を特定し、治療は数ある薬物の中から「選択」されてくるだけです。リハビリテーション治療でもこのような診療を進めていく必要性があるわけです。私は療法士界隈で、「信念対立」を起こしている間にテクノロジー分野が治療としてのリハビリテーションを確立しにきている状態が現在だと思っています。検査機器の開発による客観的な所見はどんどん精度を上げ、治療デバイスの進化は定量・定質化を可能とし、画像やさまざまな検査結果の分析や解析においてもAI画像解析技術が席巻してきています。これまでグレーとされてきた部分はクリアとなり、療法士の技術格差は確実に埋められて来ています。患者様は医師を選ぶことができます。自分で調べ、信用できる先生がいる病院を受診することができます。しかし、患者様は療法士を選ぶことは難しいです。このような不公平性の混じる現実が確実にあるわけです。この問題をクリアしてくれているのがテクノロジーです。私が前職場では検査・治療機材を取り揃えることで、治療方法を病態に併せて選択することができる状態になりつつありました。リハ組織としては、このような設備投資が確実に必要となってきているわけです。これは療法士の専門性がテクノロジーの進化に淘汰されているように一見視えるし聞こえるかもしれません。しかし、私は全くの逆だと思っています。むしろ、求められているのは専門性の拡張であり、これらのテクノロジーを自分の手足や眼のように自由に扱えるスキルが求められて来ているのだと思います。私自身が多くの治療機器や検査機器に触れてきた経験があるからこそ、その有用性は間違いないと確信していますし、分析や解析能力に関しては人間の能力を遥かに凌駕してきています。これからの療法士にはこれをきちんと使いこなせる能力が求められてきます。しかし、テンプレートの治療だけでは限界があることも事実だと思います。既製の治療で超えられない壁は確実にあります。ここにテクノロジーとともに挑み続ける療法士としてのマインドを合わせながら、ヒトの治療から人間の治療へ。手の温もりや、触れることでの安心感、言葉での対話。こういったフィジカルインタラクションを介した治療の構築が本質であり、療法士の専門性ではないかと思うのです。リハビリテーションの意味は、全人的復権なわけですから。療法士の専門性に限らず、どの分野においても今、テクノロジーの進化がサービスの本質をしっかりと炙り出してきてくれているのではないでしょうか?

レジスタンストレーニング

レジスタンストレーニング


1.レジスタンストレーニング

ジスタンス運動とは、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動です。レジスタンス(Resistance)は和訳で「抵抗」を意味します。運動する人の状態や目的によって自分の体重(自重)やゴム製のチューブ、ダンベルなどで負荷量を調整して行うことができます。

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/resistance.htmlより引用

 レジスタンストレーニングは今や一般的に普及されており、街のあちらこちらにトレーニングジムを目にするようになりました。トレーニングの知識に対する情報にも非常にアクセスしやすくなって来ています。しかし、自分のトレーニングに対する目的に合わせた方法の設定となると一般的な知識のみでは対応が難しい場合が出て来ます。トレーニングの用量(負荷、回数、セット数、頻度など)の調整に限らず、どのような運動をくみあわせなければならないかなど、考えることは山積みです。

「最近運動不足で、階段を登るだけで息がきれてしまう。脚の筋力と持久力をつけたいな。」

「脚を骨折して手術をしました。リハビリをしっかりと行い、退院しましたが、元の生活に戻ってみるととても疲れやすい。しっかりと体力を戻したいな。」

脳卒中で入院をしました。今の動きを維持していくことと、再発予防のために運動を継続していきたい。」

「最近しゃがんだり、立ち上がったりする時に膝が痛い。これ以上膝の痛みを悪化させないためには太ももの力をつけることが重要だって言っていた。太ももの力をつけて、膝の痛みをよくしたいな。」

上記の例のようにトレーニングの目的はたくさんあると思います。これらの目的に合わせてトレーニングプランを組み立てていくわけですが、これらすべての目的に共通なトレーニング部位は「脚」となるような気がしますが、実は脚だけではありません。実際に体の状態を確認しながら、トレーニングを組み立ていく必要があります。また、誤った方法を選択してしまうと、効果が得られにくく、症状がある場合は悪化を招く危険性もあります。これが、「運動を継続すること」の難しさに繋がってきてしまうのです。このような場合専門的な知識と観察力が必要となってきます。理学療法士の強みはこの辺りに発揮

 


されてくるのではないでしょうか?床半力計や筋電図、3次元動作解析装置などを介して身体を観察できる業種です。この経験が療法士の唯一無二の観察眼を創ってくれるのだと思います。

猫背。巻き型。反り腰。姿勢とは何か?

いろいろ体に悪いとされている姿勢がありますね。

猫背とは背中が丸くなっている状態、巻き型とは肩が前方に巻いているような状態、反り腰とは腰が反っている状態。果たしてこれらの姿勢はどのような原因によって作り出されているのでしょうか?

結論から言いますと人それぞれです。普段とりやすい姿勢や動作により、二時的に作り上げられることもあれば、運動不足(体調を崩して長期間寝込んでいたなど)や加齢による筋力低下によっても引き起こされます。また、痛みや関節の変形などによる身体の機能障害に対する代償補完(他の身体部位で代わりに補おうとする)として起こっていることもあります。この代償保管については今すぐにでも体験できます。

膝を完全に伸ばさず、45度程度に曲げて立って歩いてみてください。おそらくみなさん腰を少し曲げて前傾姿勢で歩かれる姿勢をとると思います。これが膝の関節が伸びることができない状態を補う身体の代償反応となるわけです。すると当然背中が丸くなり猫背、そして巻き肩に近い姿勢をとってくるわけですね。

このように、3つの姿勢を例に挙げましたが、原因は様々であり、これらが単独でひきおこされているということはありません。「姿勢矯正」という言葉がありますが、これは医学的な言葉ではありません。医学では矯正は、Opeによる観血的整復もしくは装具療法による整復を指すことが一般的です。主として整形外科分野で使用される言葉です。それでは一般的に言われている姿勢矯正とは何を指している言葉なのでしょうか??

 一般的な姿勢矯正とは、例に挙げたような悪いとされる姿勢を何らかの方法で調整し、最終的には綺麗とされている姿勢になるようサポートする施術のことを指していることが多いようです。

 では変形性関節症(関節が変形する病気)の方、脊柱の圧迫骨折などにより椎間関節が強直(関節自体の動きが出ない)となっている方で代償保管して起こっている姿勢はそもそも一般的な姿勢矯正は無理ということになりますよね??

 姿勢とは本来、体の「構え」「格好」を意味する言葉です。構えは文脈により変化します。会社の社長の前で挨拶する時には「構え」が変化しますよね?

 私個人としての見解ですが、姿勢に悪いはないと思っています。姿勢で重要なのは「文脈に沿って変化できる柔軟性と機能性を有しているという状態であるか?」ということだと思います。この文脈の幅は個人によって違います。ウサインボルトは脊柱側湾症(正面からみた背骨がS字状に変形している状態)であることは有名です。それでも100m世界記録保持者なわけなんです。姿勢と症状はリンクしていることもありますが、そうでないことも非常に多いのです。特に変形や関節の動きが悪い状態であれば、その部位に対する無理な操作は症状の悪化を引き起こしたり、二次的な痛みを引き起こしたりする可能性もあるのです。

私は、あなたのより良い姿勢を目指していくことが一番重要だと思っています。

そんなお手伝いができたらいいです。

専門性とは何か?

 辞書を引くと、「専門」という言葉の意味は「限られたある範囲を集中的に研究・担当などすること。また、その学問や事柄。」と説明されています。この専門の性質が「専門性」ということになると思いますが、専門性とは「高度な知識や経験を要求されること、またはその度合い」となってくるわけです。

 時代の進歩とともに、この専門の領域は細分化されてきています。これは、学問・研究の分野の進歩によるものが大きく影響してきた部分だと思います。

 療法士界隈においても、〜専門〇〇療法士、〜認定〇〇療法士など、疾患で区別された専門を謳う制度が構築されてきています。

 さて、ここで重要となってくるのが、「専門性」という言葉の意味です。上述したように、専門性とは「要求される高度な知識や経験」を指します。専門性とは求められる能力のことなんですね。これに対して、「専門」は個人が備えている能力なわけです。ここが一致してしていて初めて、「社会的な意義」となるんだと思います。何が言いたのかと申しますと、リハビリテーションの医療の現場に「医学」以外の専門性って必要ですか?ってことです。リハビリテーションにも〜療法や、〜コンセプトなど、多くの考え方や手技が存在しています。果たしてこれらは医療に求められる専門性なのか?私は、一部ではあるけれど、本当に求められていることではないと思っています。

 〜専門療法士や〜認定療法士などのいわゆる疾患別の専門性は、医学そして、リハビリテーション医学の普遍的な領域を勉強した上で語るべきものです。療法士の専門性の土台は医学であるべきですし、社会のニーズに応える専門性は間違いなくここにあります。しかし、療法士養成校の教育のみではこの医学という部分の勉強は圧倒的に不十分です。医師が勉強している内容・量に比べると圧倒的に劣っています。医師と協働しなければならないのにも関わらずです。

 これが、療法士が社会に出た際に、まずぶち当たる最初の壁です。ここで、医師と仕事のできる環境にあれば、医学の本質を学ぶことができると思います。しかし、そうでなければ、〜専門や〜療法など、医学の先にあるものに対してが入り口となってしまうのです。これは極めて危険な状態を作り出す可能性があります。

 患者に必要な治療は検査そして診断により決まりますが、この道程を理解できないと、それは治療と呼べるものではなくなってしまいます。客観的な検査結果から診断し、最良の治療法を選択するのが医療の原則です。

 この原理を理解せず、自身のコンセプトに当てはめるような思考で療法士がリハビリテーションを行なってしまうと、それは誤診による介入になる可能性が多いにあるわけです。

 医学の土台の上にさらに技術や有用なコンセプトを成り立たせていくこと。これが専門性を育む上で一番重要なことではないでしょうか?

中小企業向けの社員の健康増進を図る中小向け補助金創設

引用:第14次労働災害防止計画の概要(厚生労働省HP)

中小企業の皆様。2024年5月から申請開始となります。

厚生労働省は2024年度に、社員の健康増進を図る中小企業への補助金を新設する。死亡や転落など重大な事故が減る一方、転倒や腰痛といった労働災害が増加している。身体機能の衰えにより発生するケースも多く、運動指導などを促す。理学療法士ら専門家による体力チェックや運動指導を実施する企業に、費用の4分の3を100万円を上限に給付する。(社員の運動指導促進へ補助金 厚労省、中小向けに24年度,日本経済新聞

 

 高齢者以外の従業員に対しても「労働者の健康保持増進のための取り組みに要した経費」として補助金の申請が可能となります。

 

中小企業の経営者の皆様は検討の価値が多いにあると思います!!

 

PEAKFORMでは従業員の皆様の健康増進に関してもご相談受け付けております。

よろしくお願い致します。

 

 

 

創造性の脳活動

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 創造的であるとはどのような状態を示すのでしょうか?人の創造性に関わる研究は古くからされてきているようですが、今脳科学の進歩により人の創造性に関わる機能は徐々に明らかにされてきています。今回はこれについて少し紹介していこうと思います。

 

 脳は新皮質と古皮質に分けられますが、新皮質は人がもっとも進化させた領域であることは周知であると思います。皮質は領域によって機能分化しているということも一般論となってきていますね。運動の領域、感覚の領域、言語の領域など、様々です。しかし、人が何かをするという時にはこれらの領域は独立して機能するわけではなく、関連性を持ってネットワークとして機能するということが徐々に明らかになってきました。これはconectivityと呼ばれています。

 

創造性の高い人はこのネットワークの機能の違いがあるのではないかという報告がされています。

 

 

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 この辺の詳細については次回の記事で解説していければと思います。つまり、創造性が高いか低いかというのは脳のネットワークの機能によって決定されるということのようです。これはトレーニングすることによって鍛えることができるものなのでしょうか?はたまた、持って生まれた才能と呼ぶべきものなのでしょうか?その辺をリサーチしながら創造的なリハビリテーションの構築に迫っていきたいと考えています。