PEAKFORM代表のブログ

リハビリテーション×○○○を考えながら、新たな価値観を創造していけたら良いいな。雑多な事から理学療法士としての記事まで色々書いていけたらと思います。

療法士の専門性とは何か?

総合病院に15年間理学療法士として勤めてきた経験をもとに、「療法士の専門性」について書いてみようと思います。

医療リハビリテーションは医学を根拠にした治療なわけですが、これは、客観的な所見に基づいて選択される手段です。あらかじめ決まったテンプレートを使用するのが治療といってもいいかもしれません。薬物療法を例にとって説明すると、鼻水、咳、熱がでて、喉も痛い。こういった症状で受診します。すると医師の問診と診察があり、検査が行われるわけです。血液検査の結果、CRP値と白血球が高い。喉には白い斑点があり、嚥下痛も訴えている。このような所見を見て病原を特定し、薬を処方します。この例の場合はインフルエンザやコロナののようなウィルス性の感染症よりも、細菌性の感染症を疑っているわけです。処方薬には抗菌薬が含まれて来ます。このように、症状から原因を特定し、治療は数ある薬物の中から「選択」されてくるだけです。リハビリテーション治療でもこのような診療を進めていく必要性があるわけです。私は療法士界隈で、「信念対立」を起こしている間にテクノロジー分野が治療としてのリハビリテーションを確立しにきている状態が現在だと思っています。検査機器の開発による客観的な所見はどんどん精度を上げ、治療デバイスの進化は定量・定質化を可能とし、画像やさまざまな検査結果の分析や解析においてもAI画像解析技術が席巻してきています。これまでグレーとされてきた部分はクリアとなり、療法士の技術格差は確実に埋められて来ています。患者様は医師を選ぶことができます。自分で調べ、信用できる先生がいる病院を受診することができます。しかし、患者様は療法士を選ぶことは難しいです。このような不公平性の混じる現実が確実にあるわけです。この問題をクリアしてくれているのがテクノロジーです。私が前職場では検査・治療機材を取り揃えることで、治療方法を病態に併せて選択することができる状態になりつつありました。リハ組織としては、このような設備投資が確実に必要となってきているわけです。これは療法士の専門性がテクノロジーの進化に淘汰されているように一見視えるし聞こえるかもしれません。しかし、私は全くの逆だと思っています。むしろ、求められているのは専門性の拡張であり、これらのテクノロジーを自分の手足や眼のように自由に扱えるスキルが求められて来ているのだと思います。私自身が多くの治療機器や検査機器に触れてきた経験があるからこそ、その有用性は間違いないと確信していますし、分析や解析能力に関しては人間の能力を遥かに凌駕してきています。これからの療法士にはこれをきちんと使いこなせる能力が求められてきます。しかし、テンプレートの治療だけでは限界があることも事実だと思います。既製の治療で超えられない壁は確実にあります。ここにテクノロジーとともに挑み続ける療法士としてのマインドを合わせながら、ヒトの治療から人間の治療へ。手の温もりや、触れることでの安心感、言葉での対話。こういったフィジカルインタラクションを介した治療の構築が本質であり、療法士の専門性ではないかと思うのです。リハビリテーションの意味は、全人的復権なわけですから。療法士の専門性に限らず、どの分野においても今、テクノロジーの進化がサービスの本質をしっかりと炙り出してきてくれているのではないでしょうか?